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「繰り返す夏休みの1日 何度でも『かな』に恋をする」

August 19, 2017

とあるエライ人から、「このブログ、前置きや言い訳が多すぎるよね!」

 

って言われてからというもの、書き出しをどうしたらいいのか迷いに迷い、迷宮のラビリンス。またまた更新が遅くなりました(という前置き&言い訳。はっはっはー)。

 

明朝体は太い縦線と細い横線、そしてウロコなどのいくつかの定型的なパーツを使って、正方形の中にシステマチックに文字をデザインした書体だということは、前回の記事で書きました。

明朝体はふぉんとに素晴らしく計算し尽くされた書体なんですねえ。

 

そして明朝体は人気がない?!

みたいなことも書きましたが、実はいま明朝体は大人気!(╯⊙ ⊱ ⊙╰ )えええ

 

特にオールドタイプの雰囲気のある明朝体は、そこかしこで見かけます。

明朝スキーなわたしも、実はウハウハ(死語

 

 

ゴゴゴゴゴゴ…

 

 

最近では、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のタイトルに、雰囲気のあるオールドタイプの明朝体が使われています。これは実は古い書体ではなく、2008年にリリースされた「筑紫オールド明朝」。一部に線が途切れたような加工をして使われているようです。

 

まだ予告編しか見ていませんが、水、光、空間の描き方がめちゃめちゃ美しいアニメーション映画です。

 

ちなみに今回のブログタイトルも、この映画のキャッチコピーからいただきました!

(パクリじゃないよ、オマージュオマージュ)

 

 

「筑紫オールド明朝」で組んだ見本。「る」の線や「?」の形などは、映画のタイトル文字と少し違いますね。

 

 

 

同じくアニメーションで昨年大ヒットした映画『君の名は。』のタイトル文字も、オールドタイプの明朝体「A1明朝」でした。こちらの源流はけっこう古くて、1960年に写植書体として発表された「太明朝体A1」をデジタルフォントとしてリデザインしたもの。「A1明朝」は、フォントかるた人気投票でも堂々の一位!でした。

 

 

みんな大好き「A1明朝」。オールドスタイルと「にじみ」を再現した柔らかい線が特徴です。

 

 

 

さて、明朝体にオールドタイプやモダンタイプのデザインなんてあるの?と、疑問に思われるかもしれませんね。

 

あるんですよー。

 

 

メメタア

 

 

明朝体とひとくちに言っても、そのデザインはさまざま。ウロコの形やハネの鋭さ、部首のバランス、カーブの作り方などにしっかり個性が現れます。ですが、漢字以上にデザインの特徴がよりはっきりと出るのが「かな」なのです。

 

明朝体は中国で発案された書体なので、もともとは漢字しかありません。

なので、活字が日本に入ってきた頃に問題になったのが、「かな」をどうするか?でした。

それまでの日本語の木版印刷では、筆でつらつらと繋がった形(連綿体)で文字が描かれていました。これをどうやったら1文字ごとに切り離し、活字にすることができるのか?

また「かな」は、漢字のように縦線と横線で構成されているわけではないので、いわゆる明朝体のシステムに当てはめてデザインすることもできなかったのです。

 

 

『暗夜訓蒙図彙』文字と文字とはつながっていて、なおかつ行取りもフリーダムな江戸期の印刷物。文字はつながったまま彫って刷った様子。

 

 

 

これ、活字化しようと思ったら、当時の職人さんたちは、ずいぶん悩んだのではないでしょうかねえ?

 

わたしなら「もう日本語は活字にはできない~!」って諦めてしまいそう(軟弱すぎる)。

 

だが、当時の人たちは諦めなかった!

 

 

 

 

『伊勢物語』の古活字版。筆で描いたような文字ですが、なんと木活字!文字ごとのものもあるし、今でいう「リガチャ」のようにつながった状態での活字もあるみたい。美しい。

 

 

 

 

完全に1文字ごとに切り離された「かな」活字の初期の本。漢字も傾いたり線の太さが揃っていなかったりしていますが、「かな」は手書きのようなほのぼの感。

 

 

パパウ

パウパウ

 

 

結果的には、楷書体(1文字ごとに描かれた筆文字)に行き着くのですが、それでもどこをつなげてどこを切るのか?筆の入りや払いはどの方向から来てどちらを向くべきなのか?漢字に対して「かな」の大きさはどうするのか?線の太さや抑揚はどのくらいつけるのか?

 

設計の分岐点が果てしなく存在するため、「かな」は書体デザインの考え方が大きく現れる部分となったのです。

 

 

 

 

日本語活字書体が出揃ってきた明治36年の「築地活版製作所」書体見本です。今の明朝体と比べると、特に「かな」がキュッとタイトにデザインされていることがわかりますね。これがオールドタイプの明朝の特徴のひとつです。

 

 

 

 

こちらはデジタルフォントの見本。「そ」の始まりは点なのか横棒なのか?「ふ」は4画なのか1画なのか?そんな文字を構成する基本的なところから考えるので、「かな」の形に違いが出てきます。

 

 

 

商用フォントの明朝体には、「かな」だけの書体があります。最近ではオープンソースの漢字フォントと組み合わせられるような「かな」のみを開発している書体デザイナーさんもいます。これは「かな」のデザインを変えることで文章にしたときのイメージを変化させ、より幅広いニーズに応えようとしたものです。

 

 

 

 

 

漢字1つに対し、「かな」は何種類も用意されている書体もあります。左は「さおとめ」、右は「きざはし」という書体。漢字は「金陵」。使い分けるだけの違いが感じられますよね。

 

 

 

フォントかるたにも「かな」書体を用いた札があります。通常のリュウミンは、大きく明るいややモダンな「KL」が使われていますが、フォントかるたでは「KO」という少し小ぶりでオールドタイプの「かな」を組み合わせました。

 

 

左が「KL」。右が「KO」。「KO」の方が少し小ぶりで引き締まったオールドタイプの「かな」です。

 

 

 

 

見慣れたリュウミンも少し印象が変わって見えるのではないかなー?という作者(1号)の遊びゴコロです。「かな」に、ちょっと注意して見てみてくださいね!

 

 

 

 

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